税理士を変更したい!変更のタイミングや注意するべきポイント
何らかの不満や理由があって、税理士を変えたいと思う方もいるのではないでしょうか?
当事務所にも、今の税理士への不満や税理士変更のタイミングのご相談を多くいただきます。
そこで本記事では、顧問税理士を変更する際のベストなタイミングや、注意すべきポイントなどを解説していきます。
「今すぐにでも税理士を変えたい!」「いずれ税理士を変更したいけどどうしよう…」
と考えている方におすすめの内容となっておりますのでぜひご覧ください!
目次
1.顧問税理士の変更を検討する4つの主な理由
税理士は、経営者や会社の身近な存在として、財務情報など多くの情報を共有しています。
よって業務上では密なコミュニケーションを取ることが非常に重要な仕事です。
そして、ここ最近の税理士の業務は、税務や会計のことのみだけではありません。
経営の悩みや将来のビジョンについて理解し、アドバイスできるスキルが求められています。
ところが、現状これらのことに対応できない税理士も少なからず存在します。
顧問税理士のスキルと顧問先の業務の希望がミスマッチだと、不満に感じることもあると思います。
他にも、
「サービスと税理士報酬の金額がマッチしない」
「コミュニケーションが上手く取れない」
などの様々な不満により、税理士を変更したい!と考えることも珍しいことではありません。
経営者の方々が税理士の変更を検討するのは、どのような場合が多いのでしょうか?
多く寄せられるお悩みのうち、多い理由を以下にピックアップしました。
コミュニケーション不足や対応に問題あり
せっかく税理士と顧問契約を結び、毎月税理士報酬を支払っているにも関わらず、期待していたコミュニケーションが取れないことで不満を抱えることも少なくありません。
特に多い不満を以下にピックアップしました。
- 質問した回答がなかなか返ってこない、適切な回答ではない
- 話が嚙み合わない、話が通じない
- 決算や申告時のときにしか会うことや相談ができない
- 担当者の態度が偉そう、高圧的、上から目線
もちろん人間的な相性もありますが、そもそもビジネスマンとして適切な情報共有や相談がスムーズに行えない税理士もいるようです。
今の顧問税理士と上記のようなコミュニケーションエラーがある場合は、税理士の変更を検討することをお勧めします。
業務内容に対して報酬が見合っていない、費用対効果が悪い
税理士の顧問料等の報酬に関して不満に思うケースもありますよね。
「報酬の支払が負担に感じる」
「報酬に対して適切なサービスを受けられていない」
と感じケースもあるようです。
基本的に顧問料は依頼内容や事業規模によって変わります。
税理士の業務の進め方や内容が期待通りのレベルのものであれば何ら問題ありません。
ただし、それらのサービスが報酬に見合っていないと不満に感じることもあるでしょう。
税理士との顧問契約を結んだ際は、常に報酬とサービス内容のバランスをよく理解し、判断することが重要です。
税理士事務所の体制の不備
例えば、税理士事務所内での担当の変更があった場合を考えてみてください。
せっかく築き上げた信頼関係を、また一から築かなければならないのは大変なことです。
そのようなときに、税理士事務所側で担当間の引継ぎのフローなどが正しく構築されておらず、適切なサービスが提供されないことがあります。
中には頻繁に担当がコロコロ変わる事務所もあり、不信感が募ることで安心して相談することもできません。
また、昨今の会計業務などは、DX化の時代の流れに伴い、ITツールやクラウドシステムの利用が拡大しています。
税理士事務所によっては、DX化やIT化への対応が遅れているところもあります。
このようなの顧問税理士は、効率的なITツールを顧問先に紹介することが難しいです。
よって、顧問先が効率の悪い作業を行い続けることにもなります。
税理士へのニーズの変更
会社は事業規模や成長に合った税理士を選ぶことが非常に重要です。
そして、会社の成長や縮小に伴い、異なるニーズが生じる可能性があります。
売上や利益の増加や事業拡大により、その企業の規模が変化することで、税務や会計の業務量なども増え、さらにハイレベルの知識や対応が必要になります。
このようなタイミングで、今の税理士を変更する会社も多いです。
その時には今の顧問税理士がどれほどの専門知識を有し、適切な対応が可能なのかを判断することが必要になります。
各税理士によって経験や実績が異なり、分野によっては得意不得意もあります。
税理士と言っても様々な特徴やユニークポイントがあるのです。
税理士を変更することは上記のような状況を打破できるメリットもありますが、もちろんその逆のデメリットもしっかり掴んでおくことが非常に重要です。
次の見出しでは、税理士を変更する際のデメリットをお伝えします。
2.顧問税理士を変更する際の注意点やデメリット
税理士を変更することによって上記の不安は解消されますがデメリットもあります。
しっかり理解した上で税理士の変更を検討する事が重要です。
税理士を探すのに手間や時間がかかる
税理士を変更する際は、
今の税理士との契約解除の申し入れや解約をし、
会社の希望や規模に合う税理士事務所を見つけ出し、
現在契約中の事務所に預けている資料を回収し、
新しい事務所と契約をする
・・・という長ければ数ヶ月にもわたる工程があります。
また、最適な税理士がすぐに見つかるとも限りません。
自社にピッタリの税理士にタイミング良く出会えるとは限らず、思っていたよりも手間と時間を要する可能性があります。
対応してもらえない業務が発生する可能性がある
税理士の顧問料等の報酬は、税理士や税理士事務所によって異なります。
もし以前より報酬の低い税理士に変更しようとする場合は特に注意が必要です。
場合によっては今まで提供されていたサービスや助言を得られない可能性があります。
それによって、社内での作業が増えたりと非効率になってしまうケースがあるのです。
特に税理士報酬を削減する目的で税理士を変更した場合は、こうしたことが新たな不満となる可能性が高くなります。
過去の会計についての詳細な情報が失われる可能性がある
今までの税理士との契約期間が長いほど、過去の会計取引に関する細かな情報を全て引き継ぐことが難しくなります。
もちろん引き継げない情報があっても、申告や決算ができなくなることはありません。
ただ、ごく稀に発生する不定期な取引などに関しては、しっかり伝える必要があります。
以前の税理士であれば簡単な説明で済んだり、説明の必要がない取引であっても、税理士を変更したことで改めて説明したり、過去の資料を探し出したりしなければならないケースは多いものです。
3.顧問税理士を変更する際のオススメのタイミング
顧問税理士の変更を決意したはいいものの、急な税理士の変更はオススメできません。
では、変更のタイミングはいつがいいのでしょうか?
タイミングを誤ると、決算に影響が出たり、十分な節税対策を行えない場合があります。
ここでは、顧問税理士を変更する際のオススメのタイミングをご紹介します。
変更のOKタイミング
■法人税申告書を提出した直後
通常、法人は事業年度が終了した日の翌日から2カ月以内に法人税の申告書を提出する必要があります。
法人税申告書の提出は、事業年度を締めくくる年間最後の業務です。
よって、税理士を変更するベストなタイミングと言えるでしょう。
事業年度途中に税理士を変更すると、引継ぎが煩雑になり、手間と時間を要します。
法人税申告書を提出した直後に税理士を変更することで、新しい税理士が次年度からの業務をスムーズに行うことができます。
例えば、3月末で決算を迎える会社の場合は、その2か月後の6月が良いタイミングです。
■税務調査の終了後
もし税務調査があれば、その結果を受け取った直後が良いタイミングです。
税務調査は確定申告の内容に誤りがないかを確認する調査です。
よって、申告書などの書類作成に関与した税理士である方が適切なサポートができます。
基本的に税務調査の際には、税理士に代理人となってもらうため、「税務代理権限証書」というものが必要になります。
税務調査が決まった前後に税理士を変更しようとすると、このような書類の手配などがスムーズにいかなくなる可能性があるので注意が必要です。
■契約満了時期
税理士との契約満了の時期は、契約上のトラブルを避けられ、手続きが円滑に進むことが多いです。
契約期間中の変更は、税務業務や申告に支障を来すリスクがあります。
特に年度末や決算期に重なると業務が混乱する可能性があります。
契約満了時であれば、税務関連の重要な業務が完了しているため、次の税理士へのスムーズな引き継ぎが可能です。
そして新たな税理士との関係を良好にスタートさせることができます。
変更のNGタイミング
■決算3ヵ月前から決算にかけて
決算とは事業年度の業績をまとめて損益計算を行い、経営業績や税額を明確にする重要な手続きです。
税理士は少なくとも決算の3ヵ月前頃には準備を開始していることが多いです。
よって、この期間に税理士を変更することは避けた方が無難です。
税理士変更の際、基本的には税理士同士の引継ぎは行われません。
よって決算時期前後に新しい税理士に変更してしまうと、会社の経営や財務状況を正確に把握することが困難になり、混乱を招いてしまいますので注意しましょう。
4.顧問税理士を変更する際に必要な手順
上記にて顧問税理士変更のベストなタイミングをご理解いただいたかとは思います。
でも実際に税理士を変更する場合にはどのような流れで変更したらよいのでしょうか?
次に、税理士を変更する際の手順についてお伝えします。
現在の税理士との契約内容の確認
現在の税理士との契約書を改めて確認しましょう。
スムーズな税理士変更やトラブルを避けるため、契約期間や解約条件などを確認します。
内容によっては、指定期以外の解約ができない場合や違約金が発生する場合があります。
また、契約書だけではなく、メールやチャットでのやり取りの履歴も確認しておきましょう。
新しい税理士を見つけておく
なるべく税理士が不在の期間を作らないようにすることが非常に重要です。
よって、今の税理士契約を終える前に新しい税理士を見つけておく必要があります。
前もって新しい税理士を見つけておくことで、税理士変更の目的やにニーズを明確にすることができます。
切り替えのタイミングを明確にする
新しい税理士が見つかれば、会社や税理士の状況に応じて切り替え時期を具体的に決定しておくことが必要です。
前述を参考いただき、今の税理士の契約終了日と、新しい税理士の契約開始日を決めておきましょう。
この切り替えのタイミングが明確でないと、税理士のいない空白期間を作ってしまったり、契約期間が被ってしまいますので注意が必要です。
現在の税理士に解約の意を伝える
現在の税理士に、顧問契約を解約したい旨を伝えます。
その際には事前に契約内容をしっかり確認した上で、できる限り丁寧に断るようにしましょう。
この時に穏便に済ませるようにしないと、後に書類の回収がスムーズに進まなくなる可能性があります。
現在の税理士に預けている書類やデータを回収する
今の税理士との解約時には、預けていた書類やデータを全て回収するようにしましょう。
そのためにも日頃から税理士に何を預けているのか把握しておくことが重要です。
法人税や消費税の申告書、青色申告の承認申請書、請求書や納品書など、
会計上の書類等を保有していることがありますので、漏れずに回収しましょう。
もちろん、自社の情報が外部に流出するのを防ぐ目的もありますが、新しい税理士への引継ぎのためにも必要になります。
新しい税理士への切り替え
新しい顧問税理士との契約内容やサービス内容については入念に確認しておきましょう。
特に、税務署への変更手続きなどは不要です。
不明点などあれば、細かいことでも新しい税理士に確認しておくことが重要です。
そして、先述にもありますが、基本的には税理士同士での引継ぎは行われません。
企業側が必要書類や依頼したい業務を新しい税理士に提供する必要があります。
そして切り替え時期のスケジュールは各税理士によって異なります。
新しい税理士と密に連絡を取り合い、不都合が生じないようにしましょう。
5.まとめ
せっかく税理士と顧問契約を結ぶなら、何でも相談でき、長くお付き合いできる税理士を選びたいですよね。
でも、顧問税理士との相性や、事業の成長やニーズの変化に伴い、顧問税理士の変更を検討いけない可能性あります。
その際には、タイミングや変更の手順、次の税理士選びのポイントなど、慎重に進めるべき要素がたくさんあります。
今回の記事でご紹介したポイントを十分に理解した上で、計画的に進めていきましょう!
また、興味のある税理士や税理士事務所がいた場合は、自分にピッタリの相性かどうかや自社の希望に対応できる事務所かどうかを確かめるため、無料相談などを積極的に利用しましょう。
熊本創業融資相談室を運営する税理士法人ストラテジーでは、必ず事前に無料相談を行っております。
お気軽にご要望やお気持ちをお聞かせいただけますと幸いです。