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決算早期化を実現するために必要な経理部の仕組みとは?

皆様は、会社の「経理部」や「経理課」の役割や意味について深く考えられたことはありますか?
決算の早期化を実現には、「経理部」が重要な役目を果たすことを忘れてはなりません。

一般的に経理部の役割としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 仕訳入力と会計システムの操作
  • 給与計算や経費精算
  • 決算作業や明細書作成

これらの業務は外部や専門家などに委託することで代替可能であり、コスト削減も可能ではあります。
しかし、経理部はこれらの業務を行うだけでなく、企業の重要な情報を内外に提供する重要な役割を担っています。

そこで本記事では、決算早期化を実現するための経理部のあるべき役割や仕組みについて詳しくお伝えしていきます!

目次

  1. 経理部の定義とは?
  2. 経理部の役割とは?
  3. 経理業務のベルトコンベア化
  4. 課題と改善の方向性
  5. さいごに

1.経理部の定義とは?

まずはじめに、経理部の定義について考えてみましょう。

一般的には、経理部は以下のように定義されます。

「経理部とは、社内外から入手した情報を処理し、各利害関係者に求められて情報を提供(報告)する部門である。」

経理部は社内外の情報が保管される重要な場所です。
同様に、以下のような情報が経理部に集まります。

  • 社外からの情報:請求書、契約書、概算、見積書など
  • 社内からの情報:稟議書、発注書、契約書控え、注文書など

これらの情報をただ受け取って保管するだけでは、本来の経理部の役割を行っているとは言えません。
重要なのは、これらの情報を正しく処理し、必要な利害関係者に価値のある形で提供することです。

2.経理部の役割とは?

次に、経理部の役割について見ていきましょう。

経理部の役割は、情報製造業としての機能を持っています。
製造業で言えば、工場が原材料を受け取り、それを加工して製品を生産し出荷するように、経理部も「情報の入手」→「加工」→「提供」というプロセスを経て業務を行います。

経理部が提供する情報は、利害関係者ごとに異なります。以下に例を示します。

経営者

  • 月次決算や資金繰り分析
  • 予算と実績の暫定分析(予実分析)
  • 販売実績の内部別分析

投資家

  • 今後の状態や経営成績を示す決算短信
  • 有価証券報告書
  • 業績予測の情報

親会社

  • 連結決算情報
  • 積極的な企業の経営データ

税務署

  • 納税申告書
  • 税務報告資料

債権者(金融機関)

  • 状況の詳細レポート
  • 資金予測や信用分析資料

これらの情報は、単純に入力・集計しただけでは意味をなしません。
加工価値を付加し、利害関係者に必要な形で提供することが重要です。

しかし、多くの企業では、経理部が「情報製造業」ではなく「情報倉庫業」になっていることが多いです。

請求書は、会計システムへの入力と証票の保管だけの作業が多く、各利害関係者のニーズを考慮せず、ただデータとして残すことだけにがゴールとなっているのです。
このような状態では、経理部が価値を考えず、決算早期化や業務効率化も達成できません。

3.経理業務のベルトコンベア化

企業が決算早期化を実現するには、財務業務を効率化するための経理部の「ベルトコンベア化」が必要です。
これには以下の3つのポイントがあります。

①製造工程の事前構築

  • 決算書などの最終成果が完了するまでの業務プロセスを明確化する
  • 無駄を省き、効率的なフローを設計する

②業務の標準化

  • 各担当者の業務を標準化、属人的なブラックボックス化を防ぐ
  • 誰がどの業務を行うか明確にする

次工程へのスムーズな引渡し

  • 各担当者の業務内容や引き渡し時期をルール化する
  • フロー全体の流れをスムーズにする

そして、企業の経理業務が「ベルトコンベア化」した後には、早急に以下の項目を検討する必要があります。

  • 製造工程の無駄は節約できているか?
  • 各担当の業務プロセスが標準化されているか?
  • 次工程への業務引渡しがルール化されているか?

これらにより、企業の決算早期化に近づくことができるでしょう。

4.課題と改善の方向性

決算を早期化できない原因の多くは、経理部内のプロセスが非効率で属人的なことが原因として挙げられます。
このような場合、以下の問題が発生しやすいです。

  • 決算締め切り間に多くの作業が集中し、長時間の残業が必要になる
  • 業務が特定の担当者に依存しており、改善を検証したり進めることができない

これらを解消するには、まず業務プロセス全体を見直し、効率化を進める「仕組み作り」が必要です。
経理部が「情報製造業」として機能するための環境を整備することが、決算早期化の鍵になります。

5.さいごに

経理部は会計データの記録や保管をするだけの部門ではなく、情報を加工し提供する「情報製造業」としての役割を果たすべきです。

業務の標準化や効率化を進め、「情報倉庫業」から脱却し、「情報製造業」としての仕組みを構築することが、企業全体の競争力を高める大きな一歩となります。

税理士法人ストラテジーでは、決算早期化に関するご相談を無料で受け付けております。
それぞれのクライアント様のご状況に合わせた解決方法を一緒に考え、それを実行していくサポートをさせていただきます。
皆様のご相談やお問い合わせを心よりお待ちしております!