建設業にファクタリングの資金調達が絶好な理由と業者の選び方

「建設業はファクタリングが合っていると聞いたが本当か?」

「ファクタリング会社の数が多すぎて、どれを選んだらいいのか?」

売掛金を現金化することで資金調達できるファクタリングは、建設業にとって使い勝手が良い手段です。

現在、ファクタリングは社会全般で認知され始めています。しかしいっぽうでは、少数の悪質業者によるトラブルが増えているのも現実です。そこで今回は、建設業にファクタリングの資金調達が絶好な理由と業者の選び方について解説します。

本記事では、おすすめできる業者とその理由、また建設業向けにファクタリングを資金調達に活かすヒントも説明していきますので、ファクタリングで資金調達を検討している人はぜひ参考にして下さい。

目次

建設業向けファクタリング10選!業界特化型を厳選

まずはじめに、建設業に向いているファクタリングを筆者が10社選んで紹介します。この10社はファクタリング会社の中でも人気がある業者です。各業者の最も大きなメリットを中心に解説しますが、それぞれに特徴や強いところや注意すべきところもありますので、内容をしっかりとつかんで自社の資金調達に合ったファクタリング会社を見つけるための参考にしてください。

以下にそれぞれおすすめの業者を比較していきます。

ペイトナーファクタリングはひとり親方も利用可

ペイトナーファクタリング
審査通過率非公開
手数料10%
入金速度最短10分
買取可能額最大100万円
契約方式2社間ファクタリング
注文書ファクタリング可能
支払いサイト利用日から支払い期日までの期間が70日以内
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社ペイトナー株式会社

ペイトナーファクタリングは一人親方も利用可能なファクタリング会社です。

運営会社である「ペイトナー株式会社」は2019年設立で業歴は5年と実績があり、本社は東京都港区虎ノ門・資本金は2億9,245万6,068円と安心感があります。審査通過率は公式HPなど当社では非公開ですが、筆者調べでは95%以上という良好な通過率となっているようです。手数料はファクタリング利用金額の10%の一律で明快なところも安心できます。

また入金速度も、まず審査回答は申し込み手続き完了後、最短10分で審査結果をメールで回答してくれます。また入金は審査と同時進行なので、審査完了と同時に申し込みから最短10分で入金も可能とスピーディーです。ただし上記は、営業時間内(平日10:00〜19:00)に申し込みから審査まで完了した場合なので、利用を急ぐ場合は申し込み時間に注意しましょう。

買取可能額は最大100万円と、ファクタリング会社では比較的少額ですが、それでも初回・25万円~その後の取引状況などで申請限度が拡大していくという形式で、ある意味では利用実績をにらんだ堅実な限度設計とも言えます。

契約方式は2社間ファクタリングのみで、注文書ファクタリングも可能。支払いサイトも利用日から支払い期日までの期間が70日以内と長期なので使い勝手が良いと感じられます。

≪ペイトナーファクタリングのおすすめポイント≫

ここまで説明した内容や、公式HPで「フリーランス・個人事業主向け」「着金まで最短10分!請求書をいますぐ現金化」とあるように、ペイトナーファクタリングはスピード重視でフリーランスや個人事業主に向いているファクタリングです。利用者からの感謝の声にもあるように、建設業などの一人親方でも利用しやすい手軽なファクタリング会社がペイトナーファクタリングです。

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日本中小企業金融サポート機構は手数料1.5%〜

日本中小企業金融サポート機構
審査通過率非公開
手数料1.5%~
入金速度最短3時間
買取可能額下限上限なし
契約方式2者間ファクタリング 3者間ファクタリング
注文書ファクタリング要相談
支払いサイト要相談
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社一般社団法人日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構は手数料1.5%からとお得に使えるファクタリング会社です。

運営は「一般社団法人日本中小企業金融サポート機構」で、2017年設立で業歴は7年と実績があります。営利を追求しない一般社団法人である点にも安心感があります。手数料はファクタリング利用金額の1.5%からと低水準で、ここに一般社団法人として利益優先ではない姿勢も感じられます。入金速度は申し込み手続き完了後、最短30分で審査結果をメールで回答・最短3時間で入金も可能と、良心的でありながら利便性も十分と言えます。

また買取の上限なしで、2者間ファクタリング・3者間ファクタリングの両方を取り扱ってくれるところも評価できます。

≪日本中小企業金融サポート機構のおすすめポイント≫

ここまでの説明や、公式HPで「日本中小企業金融サポート機構は営利を目的としていない一般社団法人」とあるように、手数料についても1.5%からと低水準になっています。「利用手数料1.5%~」と低水準で良心的なファクタリング会社が日本中小企業金融サポート機構です。

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PMGファクタリングは2億円の資金調達可能

PMGファクタリング
審査通過率非公開
手数料最大20%(2社間)または最大30%(3社間)
入金速度最短即日
買取可能額最大2億円
契約方式2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
注文書ファクタリング要相談
支払いサイト要相談
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社ピーエムジー株式会社

PMGファクタリングは2億円の資金調達可能なファクタリング会社です。

運営会社する「ピーエムジー株式会社」は2015年設立で業歴は9年と長く、資本金も1億円と安定知っています。

審査通過率は筆者調べで98%を超える高水準になっているようです。手数料はファクタリング利用金額の最大20%(2社間)または最大30%(3社間)と、契約形態ごとに手数料水準が明確になっています。

入金速度も。最短即日で審査回答なので、即日入金も可能とスピーディーです。

そして、なんといっても大きなポイントは買取可能額が最大2億円と大きい点で、建設業にとっては大型の受注でも受け止めてくれる懐の深さを感じます。

≪PMGファクタリングのおすすめポイント≫

公式HPで「透明性の高い財務管理・会社経営に努めることで、優良なファンドや投資家から資金を調達できるため、利用者は大口の資金調達も可能で、まとまった金額の資金調達もおまかせください。」とあるように、最大2億円という大口の資金需要にもこたえてくれるファクタリング会社が、PMGファクタリングです。

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ベストファクターは最大180日入金サイクル短縮

ベストファクター
審査通過率92.2%
手数料2%~
入金速度最短10分
買取可能額最低30万円以上 上限明記なし
契約方式2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
注文書ファクタリング可能
支払いサイト要相談
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社株式会社アレシア

ベストファクターは最大180日入金サイクルが短縮も可能なファクタリング会社です。

運営の「株式会社アレシア」2017年設立で業歴は7年と安定推移しています。

審査通過率は92.2%で、こちらは公式HPで自らアピールしていうところからも審査の柔軟性に自信があることがわかります。手数料はファクタリング利用金額の最大2%から、入金速度も審査回答が申し込み後、最短10分でメール回答なので、理論的には最短10分での入金も可能と大変スピーディーになっています。2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの両方が利用可能で、注文書ファクタリングも対応してくれる利便性もあります。

≪ベストファクターのおすすめポイント≫

公式HPで「通常入金から最大180日短縮可能!注文書買取の入金サイクル」とあるように、ベストファクターは注文書段階でもファクタリングが可能です。このようにグループ力を活かし、通常の入金より180日間も資金化の短縮が可能なファクタリング会社がベストファクターです。

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ビートレーディングは最大6ヶ月先まで買取可能

ビートレーディング
審査通過率非公開
手数料2%~
入金速度最短2時間
買取可能額下限上限なし
契約方式2者間ファクタリング 3者間ファクタリング
注文書ファクタリング可能
支払いサイト利用日から支払い期日まで6か月先も買取り可能
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社株式会社ビートレーディング

ビートレーディングは最大6ヵ月先まで買取可能なファクタリング会社です。

手数料はファクタリング利用金額の最低2%からと使い勝手の良さが感じられます。

入金速度も申し込み手続き完了後、最短30分で回答、入金も最短2時間で可能と迅速な対応、しかも買取可能額は無制限で、2社間ファクタリング・3社間ファクタリング両方が可能、そして注文書ファクタリングも可能と、建設業にとっては利便性が高いと言えます。

そして、なんといっても支払いサイトが利用日から6か月先期日の注文書も買取り可能いう点で、支払いサイトが長期化することを心配している経営者にもやさしい対応になっています。

≪ビートレーディングのおすすめポイント≫

公式HPで「ビートレーディングは、6か月先の注文書も買取り可能なので、支払いサイトを最大6か月短縮でき、資金繰りの改善につながります。」とあるように、最大6ヶ月先まで買取可能なファクタリング会社がビートレーディングです。

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けんせつくんは請求書も注文書もどちらも対応可

けんせつくん
審査通過率非公開
手数料5%~
入金速度最短2時間
買取可能額無制限
契約方式2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
注文書ファクタリング可能
支払いサイト利用日から支払い期日までの期間が70日以内
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社株式会社ウィット

けんせつくんは請求書も注文書もどちらも対応可能なファクタリング会社です。

審査通過率は90%以上と安セインの水準で、入金まで最短2時間も可能とスピーディーです。また買取可能額は無制限で2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの両方が可能です。

そしてなんといっても、けんせつくんは注文書ファクタリングに対応可能という特徴があります。ファクタリング会社の中には注文書の買取は対応していないところもある中では、利便性が高いと言えます。

さらに支払いサイトは利用日から支払い期日までの期間が70日以内で、対象事業者は個人事業主・法人どちらも利用可能になっています。ファクタリングサービスの名称を「けんせつくん」にしているところなど、建設業に寄り添ったファクタリング会社と言えるでしょう。

≪けんせつくんのおすすめポイント≫

公式HPで「建設業界に特化、受注時の注文書でも可能」とあるように、請求書も注文書もどちらも対応可なファクタリング会社がけんせつくんです。

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ワイズコーポレーションは建設業との取引多数

ワイズコーポレーション
審査通過率非公開
手数料5%~(2社間)または3%~(3社間)
入金速度最短即日
買取可能額可能額は最大5千万円
契約方式取り扱いは2社間ファクタリングのみ
注文書ファクタリング要相談
支払いサイト要相談
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社株式会社ワイズコーポレーション

ワイズコーポレーションは建設業との取引多数で安心できるファクタリング会社です。

2017年設立で業歴は7年と実績もあり、建設業との多くの取引より審査通過率は90%以上と納得の水準です。手数料は5%~(2社間)・3%~(3社間)と明朗でわかりやすく、最短即日で入金も可能な利便性も備えています。買取可能額は5千万円ですが、その後の取引状況などで申請限度が拡大できる可能性も残しています。個人事業主・法人どちらも利用可能で、幅広い建設業に門戸を開いています。

≪ワイズコーポレーションのおすすめポイント≫

これまでの説明と建設業とのパイプの太さ、そして公式HPで「支払いまでのリードタイムや工期延長に伴う資金繰りの悪化といったリスクに備えるための計画的な資金調達にファクタリングを有効活用できます。」とあるように、建設業との取引実績が多数あるファクタリングがワイズコーポレーションです。

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建設payは手数料1%~最大1億円まで対応可能

建設pay
審査通過率非公開
手数料1%~
入金速度最短1時間
買取可能額最大1億円
契約方式2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
注文書ファクタリング可能
支払いサイト要相談
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社株式会社DMC

建設payは手数料1%~最大1億円まで対応可能と建設業にはありがたいファクタリング会社です。

入金速度も、申し込み手続き完了後、最短1時間の回答なので、申し込みから最短1時間で入金も可能と、建設業の資金繰りには役立ちます。買取可能額も最大1億円までと大きく、大型工事などの受注にも心強いですね。2社間ファクタリング・3社間ファクタリングが可能で注文書ファクタリングも対応するなど柔軟なサービスを提供しています。

「日本の社会と経済を支える建設業!だから建設業の資金繰りは建設Payが護る!!」と心強いキーワードが公式HPにあるように、建設payは建設業に目を向けているファクタリング会社だと言えます。

≪建設payのおすすめポイント≫

公式HPで「手数料1%~最大1億円迄対応可能!」とのアピール。手数料1%~最大1億円まで対応可能なファクタリング会社が建設payです。

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トップ・マネジメントは法人限定で最大1億円対応

トップ・マネジメント
審査通過率非公開
手数料3.5%~12.5%
入金速度最短即日
買取可能額最大1億円
契約方式2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
注文書ファクタリング要相談
支払いサイト要相談
対象事業者原則として法人限定
運営会社株式会社トップ・マネジメント

トップ・マネジメントは法人限定で最大1億円対応と、法人にとって心強いファクタリング会社です。

審査通過率は筆者調べで90%以上の高水準です。手数料はファクタリング利用金額の3.5%~12.5%と幅広く、初期費用や月額費用などは無いので利用の目安がわかりやすくなっています。

入金速度は申し込み手続き完了後、最短即日~4日以内で回答となり、最短即日~4日以内で入金されます。買取可能額は最大1億円となっているので、法人の建設業からの資金調達ニーズにも十分こたえてくれます。2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの両方とも利用可能です。

そして最大の特徴は利用者が法人限定だというところです。法人限定だからこそ法人との取引経験も豊富で、法人に向いているファクタリング会社だとも言えます。

≪トップ・マネジメントのおすすめポイント≫

公式HPで「登記された法人」とあるように、法人限定で最大1億円まで対応可能なファクタリング会社がトップ・マネジメントです。

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日税ファクタリングサービスは7ヶ月以上も相談可

日税ファクタリングサービス
審査通過率非公開
手数料0.1~5.0%
入金速度最短1週間
買取可能額最大1億円
契約方式取り扱いは2社間ファクタリングのみ
注文書ファクタリング可能
支払いサイト期間6ヵ月以内(7ヶ月以上応相談)
対象事業者個人事業主・法人どちらも利用可能
運営会社株式会社日税経営情報センター

日税ファクタリングサービスは請求書の支払い期日7ヶ月以上も相談可なファクタリング会社です。

審査通過率は筆者調べで90%を越える高水準で、手数料はファクタリング利用金額の0.1~5.0%とかなりの低価格を実現しています。買取可能額可能額も最大1億円と大きく、注文書ファクタリングにも対応可能です。

そして日税ファクタリングサービスの最も大きな特徴が、請求書の支払期日が7カ月以上でも相談可能なところです。一般的にファクタリング会社では長くても6ヵ月までの請求書対応が多いのに対し、日税ファクタリングサービスは7カ月以上まで相談可能なところは、資金繰りを考える建設業にとってはうれしい対応です。

業歴も12年と長く安心感があります。それだけ安定推移できたのも支払期日まで長期の請求書でも対応してくれるなど利便性が利用者に好評だからだと考えられます。

≪日税ファクタリングサービスのおすすめポイント≫

公式HPで「支払い期日までの期間が6ヵ月以内(7ヶ月以上応相談)」とあるように、支払期日まで7ヶ月以上も相談可なファクタリングが日税ファクタリングサービスです。

日税ファクタリングサービスの公式サイトへ

建設業向けのファクタリング会社の選び方

ファクタリング会社は数多く存在し、それぞれに特色があります。そこで重要なのは「建設業向けのファクタリング会社か?」という点です。

ファクタリング会社に特色があるように、同様にファクタリング会社でも「得意な業種」「苦手な業種」あるいは「ターゲットにしている業種」といった各社のカラーがあります。そのため建設業の経営者がファクタリング会社を選ぶときに参考となるポイントをいくつか紹介します。ファクタリング会社を選ぶポイントは、当然ながら手数料や融資までのスピードなど利便性が重要ですが、利用を検討する際にはそれ以外にも気を付けるべきポイントがありますので、参考にしてください。

それぞれ順に解説します。

建設業との取引に実績があり審査に通りやすいか

建築業の方がファクタリング会社を選択するときには、やはり「建設業でも審査に通りやすいか?」という点が重要になってきます。ただし審査に通りやすいといっても、審査がないとか、審査がゆるいといった意味ではありません。

建設業との取引に実績があることが公式HPなどに記載され、「建設業に特化」といったセールスアピールがある会社なら、内容を確認のうえで前向きに検討してもいいでしょう。

例えば建設業の特色として以下のような点があげられます。

<建設業の特色>

  • 工事がすべて完了して支払い条件となることが多い
  • 納品までの材料費や人件費は建て替えが必要である
  • 長期プロジェクトの案件は支払いサイトが長い

こうした建設業ならではの特色を理解できるのは、やはり建設業との取引に実勢があるファクタリング会社であって、それらのファクタリング業者なら、理解度の低いファクタリング業者より審査に取りやすいと言えます。(上記した建設業の特色については本文後半の『建設業にファクタリングがおすすめな理由を解説』で詳しく説明します)

2社間ファクタリングでノンリコースの契約か

建設業でファクタリングを考える場合に「手軽に資金調達できる」「資金調達したあとの心配がない」といった点で「2社間ファクタリングでノンリコースの契約」が主流で、取り扱いでも主流のファクタリングパターンになっています。

2社間ファクタリングは利用者と業者という当事者・2社だけで行うファクタリングで、「債権譲渡登記」(注1)と「債権譲渡通知」(注2)が不要なのが一般的です。通知がないので支払人に知られる可能性は低く、また2社間ファクタリングはノンリコース(注3)が多いので、この2点から手数料は3社間ファクタリング(後述)に比べると高めになっています。

  • (注1)債権譲渡登記:債権を譲渡された銀行やファクタリング業者が、譲渡されたことを登記するもの。登記によって、自分以外への譲渡(いわゆる二重契約)に備えることができる
  • (注2)債権譲渡通知:債権を譲渡された業者などが、譲渡されたことを支払企業に通知すること。ファクタリングでは売掛金の支払人に対して、FAXや文書(必要に応じ内容証明郵便)で通知をするのが一般的
  • (注3)ノンリコース:ファクタリングで買い取った売掛金が回収不能になった場合に、支払い企業に対し資金を返還請求できる権利が償還請求権(英語ではリコース)そして、この償還請求権が無い契約を「ノンリコース(ウィズアウトリコースとも)」と呼び、売掛金が回収不能になった場合も、ファクタリング会社から申込者に資金の返還請求ができない。ファクタリング業者側にとってはリスクが高いので、手数料も高めになる

3社間は取引先への信用不安につながる可能性

ファクタリング利用者と、売掛金を支払う取引先、そしてファクタリング業者という3社が関係するのが3社間ファクタリングです。3社間ファクタリングでは「債権譲渡登記」と「債権譲渡通知」が必要となるのが一般的です。そのため3社間ファクタリングを利用すると、銀行やファクタリング会社から取引先へ「債権譲渡通知」が送付されてしまいます。ファクタリングの契約としては必須の作業とはいえ、相手企業にはファクタリングしたことが知られてしまいますので、「資金繰りに行き詰ってるのではないか?」などと自社に対する信用不安につながる可能性もありますので注意が必要です。

また信用不安までには至らなくても、通知を受け取った取引先は、3社間ファクタリングの当事者にならざるを得ず、必要に応じてファクタリング会社と連絡を取り合うなどの手間も増える可能性があります。相手企業にして見れば、あなたの会社の自己都合でこうした雑事に巻き込まれると感じる相手もいるかもしれませんので、ここも慎重に考える必要があります。

数ヶ月にわたる支払いサイトの売掛債権もOKか

商取引において支払いサイトは「30日(月末締めの翌月末払い)」または「60日(月末締めの翌々月末払い)」が一般的な長さです。しかし取引においては数か月先まで支払期日が長くなることもあります。

特に建設業は工期が長期間になることも多く、ファクタリングでも支払いサイトが数か月先までといった長期間でも対応してもらえるかを確認する必要があります。ファクタリング会社によっても支払いサイトへの対応は様々で、なかには長期でも対応可能で、たとえば6ヵ月以上先の支払いサイトになっている売掛金でも買取可能なファクタリング会社もあります。いっぽうファクタリング会社の中には支払いサイトについての条件が不明(公式HPに明記されていない、または「要相談」などとなっているなど)な場合もありますが、その点だけで不親切なファクタリング会社というわけではなく、個別に売掛金支払企業の信用度や申込者の業況などを総合的に審査するので、長いものはダメと決まったわけでもありません。

受注時に利用できる注文書ファクタリングがあるか

こちらも支払いサイトが長期間になっている取引で資金調達する際に重要になってきます。ファクタリングは請求書を買い取るのが一般的ですが、建設業における請求書は工事であれば完成、あるいは部分的な受注工程の出来高払いなど、ある程度仕事を済ませた後に支払いを再給するわけで、経費支払いが先行するとファクタリングを急がなければいけないケースも出てきます。いっぽう注文書など、仕事の受注時に発生する書類でファクタリングをしてもらえる「注文書ファクタリング」の取り扱いがあれば、仕事を始める全段階でも資金調達できる可能性がありますので、資金調達で役に立つでしょう。

いっぽう、注文書ファクタリングは始まって日が浅く、取り扱うファクタリング会社も決して多くありません。その理由の一つ目は先ほど解説した通り、まだ仕事を始めていない段階なので、支払いの対象にするのが難しいといった理由が考えられます。そして2つ目には、工事請負契約など正式契約前から注文書ファクタリングで買取をしても、実際には受注できなくなる可能性もあるので、まだまだ注文書ファクタリングはメジャーにはなっていないのです。

買取限度額の有無や手数料上限が低いか確認する

買取限度額の有無や手数料の上限がなるべく低いかを確認するのも重要です。

ファクタリング会社によっては買取限度額が小さい会社もあり、たとえば10万円~100万円単位では、建設業においては十分な金額とは言えないかもしれません。ファクタリングでは一度利用したファクタリング会社を反復利用していくことで限度額が拡大することもよくあるのですが、それでもそもそもの買取限度が自社の納得できる水準に達していないなら、ファクタリング会社を選択する際に、たとえ最初から上限までの買取をする可能性が無くても、やはり買取限度額は確認しておく必要があります。

これは手数料についても同様です。ファクタリング会社では「手数料は〇%~」「手数料は最低1.5%」といった表現をする場合がありますが、これらは理論上の最低水準で、ファクタリング会社から見て優良顧客にだけ適用される手数料の料率だからです。そのため自社が利用した場合の手数料の水準を確認するとともに、まだ申込み前であれば、手数料の上限がどのくらいの水準かを調べ、手数料上限が低い会社を選ぶのも有効です。またここで、上限金利が不明だったり、問い合わせても上限金利の水準を答えなかったりするようなファクタリング会社は要注意と言えます。

建設業にファクタリングがおすすめな理由を解説

次に、建設業にファクタリングがおすすめな理由をいくつか解説します。中にはここまでの説明で触れた内容もありますが、ここでもう一度おすすめな理由を整理しておきたいと思います。

それぞれ順に解説します。

工事がすべて完了して支払い条件となることが多い

建設業では「請負契約」が一般的です。建設業の方なら当然と思うかもしれませんが、工事を受注して仕事の完遂を約束して、発注者が仕事完了後に報酬を支払うことを約束するのが請負契約です、これは言うまでもなく、仕事を完成させなければ支払いを請求できないことを意味します。

つまり、請け負った仕事を完成しなければ売り上げを回収することができないわけで、建設業にとっては工事を仕掛かっている間はお金がもらえず、しかも費用を自腹でを先払いしなければいけないわけで、この点が建設業では資金繰りが大変と言われる理由です。契約によっては代金の一部を前金などで払うケースもありますが、これもあくまで一部なので売り上げが入ってくるまでに持ち出しが発生することは避けられません。また発注者から仕事を受ける(元請け)以外に、その元請けから仕事を請け負う下請けや、下請けからさらに仕事を請け負う孫請けといったように仕事が連続して分担される形態を「重層下請構造」と呼び、自分が下請けなら代金回収までは経費が先行するだけでなく、孫請けに仕事を頼むなら、そのための前金なども経費として資金繰りを圧迫します。

こうした建設業に特有の資金繰りの厳しさから、売掛金や注文段階での資金を買取り資金調達できるファクタリングは、建設業に適した資金調達だと言えるのです。

納品までの材料費や人件費は建て替えが必要である

上記したように、建設業では請負契約が主流なので、売上代金は工事完成まで入金がなく、費用はは自己負担で建て替える必要があります。

<仕事を請け負ったあとに必要となる費用>

  • 材料費:仕事に必要な材料費(建材、資材、部品等)も工事代金に含めて契約され、請け負った建設業者が自己資金で調達するのが普通なので、この費用も自腹で持ち出しとなる
  • 人件費:工事には人の手が欠かせず、作業に重視する作業員以外にも監督者、重機オペレーターなど様々な担当で多くの人員が必要になってくる これらの給料は毎月、あるいは短期契約なら契約終了時(日雇いなら即日など)に支払う必要があり、こうした人件費も先に自己負担が必要
  • 運営経費:工事に必要な重機や建設機械などを稼働させる燃料費や現場の電気代、また機器をレンタルやリースにした場合はそれらの支払いなど運営に必要な経費もそれぞれ支払期限まで➁先払いしておく必要がある

このように建設業では仕事を請け負うと、必要経費を自分で先払いしながら、完成後に代金を受けて折れるまで資金繰りをつないでいく必要があるのです。これらの資金をファクタリングで調達できるわけなので、建設業ではファクタリングが絶好の資金調達手段と言われるのです。

長期プロジェクトの案件は支払いサイトが長い

建設業では請負う工事の日数もまちまちですが、短くても数週間から大型の長期プロジェクトでは数年~数十年といったものもあります。もちろん数年などの超大型プロジェクトでは元請け、下請け、孫請けといった関係の中で一期、二期といった区切りごとに支払われますが、単発の工事でも数か月と言った長期なものもあります。こうした長期プロジェクトを請け負った場合、代金受け取りもさらに長期化する場合があります。一般に建設業の支払いサイトは120日以内が多いと言われていますが、長期プロジェクトではさらに数か月間といった支払いサイトもあり得ます。

実際に代金の現金化までどのくらいの時間が必要になるか、例を一つ上げてみます。

(例:月末締めの翌月末払いの支払い条件で、その売掛金をサイト120日の手形で受け取ったとしたら支払いサイトは150日(30日+120日)になり、売掛金が現金化できるのは約5か月後)

このように建設業で一般的と言われている120日のサイトですら、売掛金を現金化するには時間がかかるわけで、これがさらに長期のプロジェクトで支払いサイトもさらに長くなるなら資金繰りが苦しくなることは当然と言えます。そこで、入金待ちの売掛金を現金化できるファクタリングが建設業には向いていると言われるわけです。

工事の遅延などで支払いが遅くなることもある

建設業では請負った工事の工期が延長されることは良くあります。理由は発注者の都合や仕様・設計の変更や工事の変更追加、あるいは現場での事故や受注側の理由(人手不足やスキル不足による遅延など)でも工期が延長される場合があります。工事の請負契約ではこうした工期延長は想定したうえで契約するのが一般的ですし、場合によっては請け負う契約の見直しや再締結などもあり、いずれにしても工事の遅延では、そのぶん支払いも遅くなることがあります。

遅延により先行した経費支払いなどで資金繰りが苦しくなったからと言っても、代金を先に請求するのはむずかしく、また遅延の理由が自社に原因があれば言うまでもなく、重層下請構造の建設業では工期延長による支払い遅延も常に想定して資金繰りをしていく必要があるのです。そして、想定しているとはいえ工事の遅延で支払いが長期化した場合などにもファクタリングの資金調達で代金受け取りまでつないでいくこともできるわけです。

資金繰りが改善され他案件の受注もしやすくなる

ここまで説明してきたように、工事を請け負って完成するまで代金を受け取れない点と、元請け下請けといった重層下請構造から、建設業では資金繰りが苦しくなる傾向があります。そのためきびしい資金繰りの状況下では、せっかく新しい受注があっても、そこでまた発生する先払い経費に充てる資金がないので、新規受注をあきらめざるを得ないケースも出てきます。そこでファクタリングを活用して売掛金を早期に現金化していれば、会社の資金繰りが改善され安定してくるので、追加で仕事を請け負うことも可能になってきます。ファクタリングの利点の一つに、買取であり融資ではないというポイントがあります。

ファクタリングは売掛金の買取であり融資・つまり借金ではないので、融資のように毎回分割返済することもありません。このようにファクタリングは単に資金調達の方法であるだけでなく、会社の資金繰り安定に効果があり、ひいては新規案件を獲得できる経済的チャンスもつかむことができるのです。

売掛先が倒産する可能性があり不安である

建設業は資金繰りでもわかるように、厳しい環境下にあります。たとえば帝国データバンクの調査によると、2023年における建設業者の倒産件数は1,671件で前年比+38.8%と急増しました。増加率が30%を超えるのは西暦2000年以降では初めてであり、これは世界的な大変動だったリーマン・ショック期(2008年は3,446件で前年比+17.3%)にも見られなかった高い水準となっています。

このように厳しい環境で建設業の経営でのかじ取りも難しくなり、自社の経営は言うまでもなく、元請けなど売掛先が倒産する可能性も常に考えておかなければなりません。親会社が倒産したあおりで下請け企業も倒産する連鎖倒産では、売掛金が回収できず資金繰りに行き詰まることで自社も倒産していまいます。

例えば売掛金を支払手形で受け取り、その手形を手形割引で資金調達していた場合、売掛先が手形代金を支払えず倒産(手形の「不渡り」)した場合、割引きした手形代金を銀行などに返金し、代わりに不渡りとなった手形を受け取るという「不渡り手形の買い取り請求」が必須で、ここで下請け企業が資金繰りに窮することになるケースがよくあるパターンです。

この手形の買い取り請求(手形では「遡及権」と呼ぶ)はファクタリングにおけるリコース(前述)にあたります。そのため手形割引ではなくファクタリングで売掛金を現金化して、そこでノンりコースの契約だったなら原則として売掛先が倒産して支払い不能になったとしても、自社が返金を請求されることは無いので安心と言えます。

運営元

熊本・八代・東京に拠点を構える税理士法人ストラテジーです。中長期的なコンサルティング契約からスポットでの相続関連業務、経理代行業務まで、ご相談者様に合った解決方法をご提案させていただきます。

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